職域における大腸癌集団検診 /日本大腸肛門病学会雑誌 / 36 巻 (1983) 2 号
本記事は、腸内細菌叢(腸内フローラ)に関連する”日本内科学会”の発表記事を皆様にお伝えするために書いてます。
1983 年 36 巻 2 号 p. 95-100
- 発行日: 1983 年 受付日: 1982/10/27公開日: 2009/06/05 受理日: -[早期公開] 公開日: - 改訂日: -
妙録
本邦における大腸癌の増加により,大腸における集団検診の必要性がさけばれている。
大腸集検の方法はいまだ確立されておらず,過去に試みられたいくつかの報告の成果をもとに,効率の良い方法が検討されつつある。
私共は56年度に職域を中心とした大腸集検を試み,13の企業1547名のスクリーニングを施行し,早期癌1名を発見した。
スクリーニングとして食事制限なしの3日間の便潜血反応と問診票に加え,精検希望者も考慮に入れた方法をとった。
精検手段として大腸ファイバースコープおよび注腸透視を併用した。
56年度の成績からえられたいくつかの反省から,57年度には二次スクリーニングとして,食事制限付きの3日間便潜血検査を施行している。








腸内細菌 /順天堂醫事雑誌 / 60 巻 (2014) 1 号
本記事は、腸内細菌叢(腸内フローラ)に関連する”日本内科学会”の発表記事を皆様にお伝えするために書いてます。
2014 年 60 巻 1 号 p. 25-34
- 発行日: 2014 年 受付日: 2014/03/13公開日: 2014/07/31 受理日: -[早期公開] 公開日: - 改訂日: -
妙録
近年,細菌の検索に導入された菌の遺伝子DNAやリボゾーム16SrRNAをターゲットにした分子生物学的手法の普及により,ヒトの腸内細菌の動態が,培養不可でそれまで知りえなかった菌も含め,より詳細に明らかになってきた。
ヒト成人の腸内細菌には,約500~1,000種,100兆個の菌が生着し,その構成の割合は食事(栄養)の影響を受けて生涯を通して変化し,また内的,外的な両方の環境の変動にも修飾されて敏感に反応する。
腸内細菌構成菌の変動は,分子シグナルを介して宿主の代謝と免疫など,生理,生化学的機能に影響し,宿主の健康と病的状態に密接に関係する。
胎児期に無菌の腸管は,出産時に産道を通過する際に母親から菌を獲得し腸管内へ生着が開始する.母乳栄養児では生後3ヵ月頃までにBifidobacteria優位の菌叢になり,生後6ヵ月頃には全体の90%以上を占めるようになる。しかし離乳食の導入に伴い,人工栄養児のそれと次第に差異は縮小する。他方未熟児は帝王切開(帝切)で出産する例が多く,母親から出産時に菌を獲得する機会を逸し,NICU等の環境から得る菌が最初に腸管へ生着する結果,腸内細菌構成の異常(dysbiosis)を生じ,新生児期の感染や壊死性腸炎(NEC)等の病的潜在リスクとなる.いわゆる善玉菌の腸内細菌,特にBifidobacteriaは,消化吸収,免疫を含む腸管防御等の腸管機能や解剖学的発達,成長に重要な役割を果たす。
腸内細菌と食事(栄養)は,相互に密接な関係を有する。食習慣は腸内細菌構成に影響を与え,蛋白質や動物性脂肪(高飽和脂肪酸)の食事摂取が多いとEnterobacteriaceae(Preteobacteria)の割合が多く,高炭水化物食はPrevotellaが増加する。腸内細菌は,食事中の難消化性炭水化物(食物繊維)を代謝,発酵し短鎖脂肪酸(SCFs)の酢酸,プロピオン酸,酪酸を主として産生する.酢酸とプロピオン酸は宿主の,酪酸は直腸上皮細胞それぞれのエネルギー源となる。
また,腸内細菌は胆汁酸代謝,食事由来のcholine代謝に関与し,前者は脂質代謝や糖代謝,後者は動脈硬化の進展に関係する。
世界的な流行の様相を呈する肥満の元凶は,近代の社会環境の変化に基因したエネルギー摂取と消費のアンバランス,すなわち “西洋食” と称される高カロリー,高(飽和)脂肪食の摂取にある。高カロリー,高脂肪食はFirmicutes, Proteobacteriaの増加,Bacteroidetesの減少など,腸内細菌構成の異常dysbiosisを招く。
これらの増加した菌はエネルギー産生や抽出能が高く,宿主の脂肪組織を増加させる。さらに細胞毒性かつ炎症惹起作用のあるリポポリサッカライドを産生し血中に吸収され(endotoxemia),軽度でしかし慢性の炎症を生じる。
そのため,炎症性サイトカインが分泌され,インスリン抵抗性の原因となる.インスリン抵抗性が長期化すると2型糖尿病(T2DM)やその他のメタボリック症候群の高リスク因子となる。
共同研究者の佐藤淳子ら(順天堂大学代謝内分泌科)は,T2DM患者の腸内細菌が健常者のそれと異なり,その20数%で菌血症を伴うことを世界で初めて発表した。腸内細菌の異常は毒性のある二次胆汁酸産生を増加し,肝に運ばれ肝細胞癌の発症の原因になることをがん研究会の大谷らは報告している。
大腸癌の一部も二次胆汁酸がその発症に関与していることが示唆される。
腸内細菌と宿主の免疫,代謝等の密接な関係から,腸内細菌のdysbiosisが宿主の健康と疾病に影響を及ぼす学術的エビデンスが近年急速に蓄積されてきている。これに伴いProbioticsによる健康管理,疾病の予防や治療をも見据えた研究も活発になり,近い未来の医療に大きなインパクトを与えるものと期待される。











保育所保護者の生活習慣・栄養摂取状況と腸内細菌叢との関連 /日本調理科学会大会研究発表要旨集 / 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
本記事は、腸内細菌叢(腸内フローラ)に関連する”日本内科学会”の発表記事を皆様にお伝えするために書いてます。
- 発行日: 2018 年 受付日: -J-STAGE公開日: 2018/08/30 受理日: -[早期公開] 公開日: - 改訂日: -
妙録
【目的】幼児の健康障害の一つに便秘があるが、幼児期の食生活の管理は保護者に委ねられており、母親の影響を大きく受けると報告されている。
本研究は幼児の望ましい食生活や生活習慣を形成するために、保護者の生活習慣・栄養摂取状況と腸内細菌叢との関連について検討した。
【方法】調査期間は平成27年12月から平成28年4月、対象者はF県K町の同意が得られた保育所保護者62名。
調査内容は1)食生活と食事に関する実態調査(秤量記録法で平日3日間、食品名を食事記録シートに記入および同日の食前食後の料理写真撮影) 2)採便後の腸内細菌叢の分析。
分析は㈱テクノスルガ・ラボに依頼し、Nagashima法で行った。
解析は統計解析ソフトSPSS Statistics ver.22を用い、有意水準5%未満とした。
栄養価はエクセル栄養君Ver.8で算出した。栄養摂取量別3群は食事摂取基準2015年版の基準値±10%を中摂取群、9%以下を低摂取群、11%以上を高摂取群とした。
この研究は中村学園大学の倫理委員会から承諾を得ている。
【結果】年齢別において、腸内細菌叢に有意な差は認められなかった。
生活習慣と腸内細菌叢では、朝食時間が7時前とそれ以降・決まっていないでは、推定される菌群のBifidobacteriumの割合はそれぞれ17.0±9.3、10.4±7.0であり、7時前が有意に高い値を示した。
栄養摂取状況と腸内細菌叢では、ビタミンK摂取量3群別の低摂取群、中摂取群、高摂取群におけるBifidobacteriumの割合はそれぞれ8.6±6.6、8.8±9.3、14.7±8.0であり、高摂取群が有意に高い数値を示した。

シンポジウム1-3 IBD腸内細菌叢における酪酸高産生菌の減少 日本臨床免疫学会会誌 / 39 巻 (2016) 4 号
本記事は、腸内細菌叢(腸内フローラ)に関連する”日本内科学会”の発表記事を皆様にお伝えするために書いてます。
2016 年 39 巻 4 号 p. 289
- 発行日: 2016 年 受付日: -J-STAGE公開日: 2016/09/03 受理日: -[早期公開] 公開日: - 改訂日: -
妙録
潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)に代表に代表される炎症性腸疾患(IBD)は,遺伝的素因と関連した免疫異常が食事抗原や腸内細菌に過剰に応答し引き起こされると考えられている。
さまざまな免疫関連遺伝子のノックアウトマウスに自然発症する慢性腸炎が無菌環境下では発症しないこと,炎症性腸疾患の病変が腸内細菌の豊富に存在する回腸末端から大腸に好発することなどから,腸内細菌が炎症性腸疾患の発症に深く関わっていることに疑う余地はない。
炎症性腸疾患の腸内細菌叢の構成,機能の変化(dysbiosis)についてさまざまな検討があるが,腸内細菌の多くが難培養菌からなることから,さまざまな分子生物学的解析法が取り入れられて研究が進行してきた。
それらの多くが,CD腸内細菌叢におけるClostridiumに代表される酪酸産生菌の減少を示している。
嫌気性菌は食物繊維を発酵して酪酸,酢酸,プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を誘導するが,このうち酪酸にはヒストン脱アセチル化酵素阻害など多彩な作用が報告されている。
我々の検討では,酪酸は,強力にNF-kBの活性化を阻害して抗炎症作用を発揮する。
さらに,酪酸が制御性T細胞の誘導に係わることも明らかにされている。

大腸癌患者の食生活の検討 日本大腸肛門病学会雑誌 / 40 巻 (1987) 6 号
1987 年 40 巻 6 号 p. 741-746
- 発行日: 1987 年 受付日: 1987/06/15公開日: 2009/06/05 受理日: -[早期公開] 公開日: - 改訂日: -
妙録
弘前市およびその周辺の町村に在住している術後大腸癌患者45例の食事内容を45例の対照群の食事内容と比較検討した。
その結果,各群の食物繊維摂取量は対照群で平均19.9g/日,大腸癌群で平均14.9g/日と大腸癌群で有意に少なく,大腸癌発生における繊維欠乏説が強く支持された。
さらに大腸癌群では各栄養素摂取量も有意に少なかったが,脂肪量/繊維量比は大腸癌群の方が高い傾向にあり,大腸癌の発生には食物繊維と栄養素の摂取のバランスが重要と考えられた。
また食品群別に検討すると,大腸癌群では脂肪を獣肉類から摂取する割合が高く,海藻類からの繊維摂取率が有意に少なく,脂肪・繊維の由来も重要なことが示唆された。







感染症;細菌,寄生虫 /日本内科学会雑誌 / 100 巻 (2011) 1 号
2011 年 100 巻 1 号 p. 71-77
- 発行日: 2011 年 受付日: -J-STAGE公開日: 2013/04/10 受理日: -[早期公開] 公開日: - 改訂日: -
妙録
小腸の細菌および寄生虫感染症について診断,画像診断,治療について主に述べた。
病歴では食事歴,海外渡航歴,居住地などが重要である。
また,各病原体の潜伏期,症状,画像所見,確定診断の方法などを把握しておくことが重要である。
また,最近問題になっているClostridium difficile小腸炎は主に潰瘍性大腸炎やCrohn病の大腸全摘・亜全摘術後におこる致死率の高い疾患であり,その存在を念頭におくことが予後の改善につながる。



プロバイオティクスに対する腸管組織の生理応答 /日本乳酸菌学会誌 / 18 巻 (2007) 1 号
本記事は、腸内細菌叢(腸内フローラ)に関連する”日本内科学会”の発表記事を皆様にお伝えするために書いてます。
2007 年 18 巻 1 号 p. 13-16
- 発行日: 2007/03/15 受付日: -公開日: 2009/02/13 受理日: -[早期公開] 公開日: - 改訂日: -
妙録
腸管は、表皮と同じく生体にとって外界との接点に当たる。
外界との遮断を主目的とした表皮組織との違いは、栄養素や水の吸収に適した単層円柱上皮から構成されている点である。
そのため、外界の構成要素である細菌との相互作用の様式も表皮とは異なっている。
しかも、その相互作用が種々の液性情報等を通じて腸管組織を超えて全身に及ぶことが示唆されている。
食事と腸内細菌によって形成されたある腸内環境は、それに対応した宿主の生理応答を惹起するが、それは健康にとって望ましい場合もあれば望ましくない場合もある。
プロバイオティクスやプレバイオティクスは、腸内環境の変化を積極的に利用して種々の保健効果を得ようとする方法論である。



